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漢方コラム 3/313

Vol.312 睡眠と腸〜良い睡眠を取るために欠かせないのが胃腸の働き〜

《食の見直しと腸活は睡眠においても重要》

睡眠にはホルモンが関わっており、ホルモンの生成には腸内環境が深く関与しています。起床後13時間くらい経つとメラトニンというホルモンが体内で増え始めますが、メラトニンの材料になるのは幸せホルモンと言われるセロトニン。そしてセロトニンを合成するために必要なトリプトファンは腸内細菌がたんぱく質を分解・合成することによって作られます。食べ物から取り入れた栄養素からセロトニンを作るのは90%が腸で行われているため、良い睡眠を得るためにはたんぱく質の摂取と、良い腸内環境が欠かせません。

神経伝達物質を作る際には鉄などのミネラルが必要で、ミネラル、ビタミンをしっかり補給することも重要です。しかし、腸内環境が良くないと、ビタミンがうまく合成されなかったり、ミネラル吸収がうまくいきません。現代人は質的な栄養不足〞といわれ、特にミネラル不足が指摘されているので、体内に入ってくるミネラルが少ない上に腸内環境に問題があると、ますます栄養不足が加速します。食の見直しと腸活は、睡眠においても重要な問題といえるでしょう。


《腸内環境整え、ホルモン・血液を作り出す》

漢方薬を用いるとき、一見関係のないような症状、▼生理不順、▼不妊症、▼皮膚病、▼痩せにくい、▼風邪をひきやすいーなどにも胃腸の働きを高めて腸内環境を整える処方を使うことがよくあります。腸内環境が良くないと、ホルモンを作り出す力や血液を作る力、免疫物質を作り出す力が低下してしまうためです。

「胃腸は五臓の中心」と捉え、生まれてから死ぬまで後天的に外から栄養を取り入れて内臓の働きを高める「重要な入り口」であると考えます。食べ物が入ってくると栄養が勝手に吸収されるわけではなく、胃腸の機能が正常に働いてこそ、きちんと取り込まれます。睡眠においても、胃腸の働きを高め→血液を増やし→睡眠物質を充実させることで眠りを安定させるという不眠に用いる漢方薬があります。


《眠りに必要な環境を整える》

不眠に用いられる漢方薬には様々な種類がありますが、無理やり眠気を引き起こすものではなく、眠るために必要な環境を整えることが主な役目になります。気が高ぶって眠れない人には神経を落ち着かせるものや安眠作用のある漢方薬を使って少しでも早く眠れるようにサポートしながら、眠れるような根本的な身体づくりにも取り組みます。
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