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漢方コラム 5/313

Vol.310 「実証」と「虚証」〜 同じ症状でも、タイプに合わせた漢方処方で効果を上げる〜

《過剰も不足もダメ! 丁度良くなるように》

漢方薬を使う時は必ず、実証(じつしょう)か虚証(きょしょう)かという体質をみます。

実証とは体力があり、気も血液も十分にあるタイプで、過剰になり過ぎていることによって病気を引き起こします。極端に言うなら、がっちりとした固太りで赤ら顔、声も大きく活動的というイメージ。肥満、高血圧、肝臓病、糖尿病、痛風などの病気に罹りやすい傾向があります。このタイプには瀉法(しゃほう)という余分なものを排泄する、掃除を目的とした漢方薬を用いて体のバランスを整えていきます。

虚証は虚弱体質、痩せ型、沈静的で疲れやすい、寒がり、貧血傾向というイメージです。内臓の力や血液など体に必要なものが足りないタイプ。このタイプには補法(ほほう)といって、虚弱体質を改善するような内臓の力を高めるもの、血液など必要なものをしっかりと補うアプローチをしていきます。

《実と虚 カウンセリングでプロが見極め!》

例えば、むくみや便秘の症状がある人がいたとします。実証の場合は、▼体が必要としている以上に大量の水分が体に入ってきている、▼大量の食べ物を食べて、体内で処理できていない‐イメージに対して、虚証の人の場合は、▼冷えや腎機能低下など内臓機能が正常に働かないことで水分代謝が悪くなってむくむ、▼腸のぜん動運動が弱くて便が出ない‐というイメージです。そのため、実証の場合は直接掃除するような瀉法を使い、虚証の場合はきちんと内臓機能を高めたり、冷えを改善するという補法を用いることで掃除する力をつけていきます。

風邪などの流感自体は実証なので、いくら体質的に虚証でも悪い物は追い払わなければいけないため、短期的に集中して瀉法を用い、治していきます。漢方薬を用いる時は例え一見同じ症状であったとしても、この実と虚の見極めがとても重要になります。

《自己判断は逆効果になることも》
 
「ダイエットのために防風通聖散〞を飲んでいるけどあんまり痩せません」という声をよく耳にします。本来はダイエット目的の漢方薬ではないのですが、一部の体質の人の体の掃除役として応用できることからダイエットの漢方薬として広まったようです。しかし、ここにも落とし穴があります。防風通聖散はがっしり体系で便秘体質という実証タイプには良いのですが、疲れやすく冷え性というような虚証タイプの方には向きません。長期使用はむしろ虚証が進み、代謝が落ちてより痩せにくくなってしまう恐れもありますので気を付けましょう。
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