漢方コラム
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Vol.307 漢方の役割〜〜漢方など東洋医学では人間も自然界の一部と捉える 病気になる手前「未病」の段階で手を打つことが重要
《現代では合成医薬品や手術で治せない疾患も》
20世紀以前の医療は主に伝染病を対象とし、化学薬品を使った治療が中心でした。現代においては、生活習慣病や慢性病、アレルギーなどが急速に増え、合成医薬品や手術だけでは治せない疾患が多くなりました。このような疾患は日々の生活習慣や環境などの問題とも深く絡むので、局所的なアプローチではなく、よりマクロな視点での取り組みが重要になってきています。自分で自分を守る知恵を身につけた人が助かる時代といえます。特に、健康と病気の間である「未病」の段階で、いかに手を打つかということが重要なカギになります。未病というのは、症状はあるのに病院で検査をしても異常がないという、病気ではないけどその手前の段階のことを指します。
○風邪をひきやすい
○年々花粉症がひどくなる
○生理痛がある
○不眠・イライラがひどい
○頭痛持ち
などのつらい症状があっても、検査では全く異常が無いということはよくあります。「風邪をひきにくくするため、腸内環境を整えて粘膜免疫を高める」「生理痛を無くすために骨盤内の冷えを改善し、血流を良くする」「イライラ解消のために隠れ貧血を治し、肝の気の巡りを良くする」など東洋医学の考え方を知ることで未病の段階からアプローチすることができます。
《瘀血( おけつ) により老廃物溜まり、栄養届かず》
ポリープや卵巣嚢腫、子宮筋腫などの「できもの」というのは、イボも良性腫瘍も悪性腫瘍もすべて瘀血(おけつ:血流が悪いこと)の産物です。長期間血流が悪い部分は老廃物が溜まりやすく、栄養が行きにくいため、できものができやすくなります。
経過観察している間、体の冷えや血流障害がある環境が改善されなければ、そのまま進行していく可能性が高いということになります。進行を防ぎ、今よりも体調を良くするために早めに対処することが重要です。
《本来の自然治癒力を最大限に》
日本人で未病の方はおよそ6000万人いるといわれます。病気の方よりも、圧倒的に未病の方の方が多く、症状や困ったことはあるのに調べても異常がないため、我慢して過ごしていたり、つらいけど倒れるほどではないからとやり過ごしているという方が多いようです。
漢方をはじめとする東洋医学は、人間は自然界の一部と捉えているので、気候や環境、季節に応じた自然界のリズムや法則にのっとった過ごし方をすることで、体のアンバランスを生み出さないようにすることを基本とします。その上で、本来誰もが持っている自然治癒力を最大限に引き出す手助けをします。