漢方コラム
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Vol.301 子宮や卵巣の機能を漢方で整えて基礎妊娠力UP! その人にとって何が妊娠への一番の近道かを探る
《不妊治療の副作用を軽減させ、治療効果を高める》
妊活における漢方の役割というのは、基礎妊娠力を高めるということにあります。そして不妊治療における副作用を軽減し、治療効果を高めるというのも役割の一つです。土壌を整え、妊娠しやすい状態にしておくことで、より不妊治療の効果を高める目的があります。例えば、一般的な不妊治療では卵子の質を高めるというアプローチや、ホルモンバランスを整えたり、冷えを解消するというアプローチが手薄になるため、本来の体の働きを正常にするということが一番のポイントではないかと思います。
《身体の状態など総合的に見ながら妊活を進める》
生理不順で生理周期がバラバラの場合、ホルモン剤を使えば生理が整ったようには見えるのですが、卵巣機能や脳と卵巣の連携といった性腺軸がうまく働かないという問題は解決されていません。本来持っている正しい機能を取り戻していくことは、結果的に妊娠力を高めるということにつながります。もちろんケースバイケースで、必要に応じてホルモン剤を用いて妊娠への近道を見つけることは重要です。身体づくりに費やせる時間や身体の状態などを総合的に見ながら判断していけば良いと思います。
《妊活の過程も、不妊の原因も1人ひとり違う》
体外受精を10回しても着床しなかった女性が来店され、漢方を始めて3か月後の体外受精で成功したという例がありました。この方は器質的な問題はほとんど無いのですが、生理痛がひどく、舌も真っ白で強い冷えがありました。毎日冷たいものを飲んでいたので、温かい飲み物に切り替えてもらい、子宮の冷えを取り、血流を良くする漢方薬ですぐに生理痛が無くなり、妊娠に至りました。
親鳥が卵を温めることによって孵化させるように人間も温かい環境で命をはぐくみます。着床には温かい子宮内膜が必要で、十分な血液が巡っていなければいけません。
しかし、低体温や冷え性、隠れ冷え性の方は多く、その点のアプローチが手薄になったまま高度な不妊治療に取り組み、なかなか結果に結びつかないというケースがあるのです。妊活の過程は一人ひとり違い、不妊の原因もさまざまです。複雑な問題を抱えている場合もありますし、男性側に問題があるケースもあります。近年は子宮内フローラといって、腸内と同様、子宮内の細菌バランスが着床と大きく関わっているということが分かってきています。いろいろな視点からのアプローチが必要で、その人にとって何が一番近道なのかを探り、ベストな方法を選択していくことが重要ではないでしょうか。