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漢方コラム 16/313

Vol.299 腸脳相関〜腸と脳の間でさまざまな情報を交換! 腸内環境が気持ちや不眠、アレルギーなど幅広く影響〜

《腸は排泄するだけの器官ではない》

 近年「腸脳相関」という言葉を耳にするようになりました。

例えば、
●ストレスを感じると腸内細菌のバランスが大きく変わる
●腸内環境が悪いと精神トラブルが起こりやすい など、

腸と脳とは密接に情報交換が行われており、胃腸は栄養吸収・排泄するだけの器官ではないということが科学的にも分かってきています。さらに言うと、肝臓や腎臓、副腎、免疫系などの全身の臓器の細胞も含めて巨大なネットワークが形成されています。
 これは東洋医学の考え方と一致することも多く、各臓器や器官がつながっているため、局所を見るのではなく、体を広く総合的にみていく視点が病気や症状の改善の大きな糸口になります。

《感情の揺らぎを整えるため、体からアプローチ》

 腸内環境が荒れていると心が荒れて感情に波が起きやすく、胃腸が弱い人はなかなか決断できないといわれます。
東洋医学では昔から、五臓と性格の関係性について

@胃腸が弱い人はくよくよ悩みやすい
A肝が弱っている人は怒りやすい
B腎が弱い人は驚きやすい 

といった傾向があると考えます。感情の揺らぎを整えるために体から整えるというアプローチをしていきます。
 精神トラブルだけではなく、不眠、生理不順などの婦人科トラブル、不妊症、皮膚トラブル、アレルギー、貧血などが、胃腸からケアすることでよくなっていくということは東洋医学ではよくあります。

《消化器官は外界とつながっている⁉》

 医師である桐村里紗さんの著書には「腸は自然界の延長にある」と書かれています。人間の体は、よくちくわに例えられますが、胃腸などの消化器官は体の内側にあるように見えて、実は外界と触れ合っています。
 現代人の腸内環境が悪くなってきている原因の一つに、地球上の土が化学物質などの影響で痩せてきて、微生物との共生に問題が生じてきている可能性が指摘されています。今の時代は至る所を殺菌除菌しますが、巡り巡ってそれが人間の土壌である腸の力を落とすことも懸念されています。
 食べたものは胃で消化され、腸や小腸で分解され、腸内細菌がそれを発酵させてビタミンやミネラル、アミノ酸、有機酸などの栄養を吸収します。ミネラルは元々吸収しづらいので、腸内環境が悪い人はうまく吸収できず、ミネラル不足になります。現代人はミネラル不足は腸の仕組みにも原因があります。
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