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漢方コラム 20/313

Vol.295 慢性炎症〜痛みも腫れも無いが、長期間続く炎症にご用心!

《多くの疾患の始まりに関係する慢性炎症》

悪性腫瘍をはじめとする多くの疾患の発生に関わっているといわれるのが「慢性炎症」です。慢性炎症とは、腫れたり、熱をもって痛みを伴う急性炎症と違い、明らかな炎症症状はなく、低レベルの炎症が長く続くことを指します。
 慢性炎症は多くの疾患の病理過程にみられるといわれています。例えば、動脈硬化、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症、躁うつ病、睡眠障害、子宮内膜炎、子宮頸がん、子宮内ポリープ、悪性腫瘍、自己免疫疾患…などなど。
 ほとんどの悪性腫瘍は慢性炎症から始まるといわれます。長期間の炎症刺激によって細胞分裂が盛んになることと、炎症によって増える活性酸素の毒性が細胞外環境を破壊することで異常分裂が起こって発生します。また、慢性炎症が起こる場所は低酸素状態になることも、病気の発生に関係していると思われます。

《瘀血(おけつ)と痰湿(たんしつ)を防ぐ》

 中医学での慢性炎症とは、「瘀血(おけつ)」という血流が悪くなった状態と、「痰湿(たんしつ)」という代謝が悪く体に老廃物が停滞している状態を指します。慢性炎症が引き起こす局所の低酸素状態は瘀血であり、悪いものが停滞する痰湿は、昔から脳卒中、躁うつ病、アルツハイマー型認知症に大きく関与すると考えられてきました。
 瘀血、痰湿があると体にできものができやすくなったり、炎症が起こりやすくなります。瘀血、痰湿はまさに万病の元。血流を改善し、老廃物を溜め込まず、きちんと代謝を高めておく−。これは慢性病予防&治療の鉄則です。

《生活養生を基盤に、東洋医学の知恵を活用》

 慢性病発生の背景には、遺伝、老化、生活習慣などがあるとされています。遺伝的に免疫不全や不調があると、自己免疫反応が起こりやすくなり、慢性炎症の原因になります。免疫機能が低下している人は慢性炎症が起こりやすく、また、慢性炎症のある人は免疫低下の可能性が高いといえます。加齢に伴い、炎症反応は高くなる傾向があります。アルコール、高カロリーの食事、化学物質などの影響もあり、内臓脂肪と高血糖は慢性炎症が発生する主な原因といわれています。
 漢方薬は慢性炎症と、それを引き起こす体質に対処していきます。身体への毒性は弱く、治療だけではなく予防も進めていきます。
 生活養生を基盤とし、東洋医学の知恵をうまく活用しながら病気のリスクを減らしていくことは、健康を考える上で重要なことではないでしょうか。
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