漢方コラム
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Vol.286 『苦味』が持つ働きー熱や水、老廃物など余分なものを取り除く
《苦い生薬は胃腸を癒やし、デトックス効果あるものも》
皆さま1月7日に七草粥を食べましたか?
七草粥は、お正月の胃腸疲れをとるためと、一年の無病息災を願う意味合いがあります。
なずな、かぶ、だいこん、せり等どれも共通して消化器系によい働きがあり、疲れた胃腸を癒します。胃腸機能が低下すると溜め込みモードになってしまうので、デトックスできる体を保つためにも胃腸機能を整えておくことが重要です。
だいこんや葉物などの“苦味”を感じることによって胃腸の働きが活性化されるのですが、食欲がないときなどに使う胃腸薬にも苦味のある生薬がよく使われています。そして“苦味のあるもの”にはデトックス作用もあり、体内の余分なものを取り除くという働きがあります。
苦味が持つ働きは主に4つ。
@ 清熱…体の熱を取る
A 燥湿…体の余分な水を取り除く
B 解毒…体の老廃物を取り除く
C 鎮静…神経の興奮を鎮める
《不要なものを排出する「瀉(しゃ)」の生薬は苦い⁉》
苦味には炎症を取る働きがあるため、皮膚病やのどの痛み、発熱などの時に用いる漢方薬は苦いものが多いです。漢方では「瀉(しゃ)」といいますが、余分なもの(熱や水や老廃物)を取り除く瀉の性質を持つ食材や生薬、漢方薬には苦味があるものが多く、「補(ほ)」といい、血を増やす、元気をつける、というように体に不足しているものを補う補剤にはわりと飲みやすいものが多い傾向があります。
《春の苦み食材で肝臓を解毒モードに!》
苦味が発揮されるのは春の食材。ふきのとうやタラの芽などの山菜、フキ、タケノコなどの苦味によって体の毒出しが促進されます。
人間も動物同様に冬は体が溜め込みモードに切り替わるため、春になると冬の間に溜め込んでしまった悪いものも排泄しようというモードに切り替わります。それを手伝うのが苦味です。特に肝臓の解毒作用が高まるので春が来たら山菜など苦味を積極的に取り入れましょう。皮膚に湿疹がでやすい、皮膚が炎症しやすいタイプは控えめに。
神経を鎮めたいときにも苦味は有効で、神経が高ぶって落ち着かないとか眠れないというようなときにも役立ちます。不眠にはいろいろなタイプがありますが、気が高ぶる、興奮する、頭部がヒートアップしている、というようなときですね。そんなときには苦味食材を活用してみてください。
苦味食材には、ニガウリ、セロリ、ピーマン、春菊、緑茶、などあきらかに苦味を感じるものもあれば、パセリ、ごぼう、銀杏、アロエ、きゅうり、アスパラガス、たけのこ、レタス、ミョウガなども苦味に属します。