漢方コラム
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Vol.285 自分は何タイプ⁉ 習慣性便秘を考える
【熱性便秘】:腸内に熱がこもり、便が出にくくなるタイプ
腸内に熱がこもることにより便が出にくくなるタイプです。外気温によって体温が高くなり腸内乾燥するケースや、病気に伴う場合、辛いものや油濃いものなど摂り過ぎで体内が熱っぽい体質になっている場合などがあります。大根や白菜、イチジク、バナナなどの腸の熱を取るものを。先日、抗癌治療している方から、「便がでなくなり大建中湯をもらって飲んだところ、ひどく激痛が起こりよけい便秘がひどくなった」という相談がありました。大建中湯は温める処方なので、冷ますタイプの漢方薬をお渡ししたところ、次の日からスムーズに便がでたそうです。病気や治療によっても腸内が熱っぽくなっていることがあるので、便秘にはこの漢方薬という使い方は避けたほうがよい例です。
【冷性便秘】:腸が冷えることにより腸の働きが悪いタイプ
お腹を触ると冷たいなど、腸が冷えることによって腸の働きが悪いタイプです。腸は37度で活発に動き排便がスムーズに行われやすくなります。意外と無自覚の方が多く、冷えによる便秘とは気づかずにアイスやビール、冷たいお茶などを口にしているというケースもよくあります。朝起きてすぐに冷たいお水を飲んでいるという方は白湯に、ヨーグルトを食べているという方はお味噌汁にしましょう。柿など冷やす性質の食べ物は食べすぎないように。温度と食べ物の性質に注意しましょう。常に火を通したもの、温かいものを口にし、湯たんぽやカイロで腹部を温めることや、しっかりと湯船につかることも効果的です。漢方では腸を温める処方を使いますが、日常でもスパイスなど体を温める食材をうまく活用して腸を温めましょう。
【虚性便秘】:便を出す力が無く、なかなか出せないタイプ
便を出す力がないために、なかなか便が出ない。元々胃腸虚弱のタイプで、排便した後疲れる、トイレに座っている時間が長い。下剤を長期使用した方にも多いです。
ねじれ腸といい、腸が下垂してねじれて絡まってしまっているタイプが目立ち、おへそあたりには腸がないため、下の方をマッサージするとよいです。仰向けになって下の方にある腸をもみほぐすことも効果的。繊維の多い野菜や生野菜ではなく消化しやすく火を通したものを。よく煮込んだ白菜、キャベツを中心に、パンよりも穀類を主食に。冷たいものは×。
漢方では腸の力をつけていく処方を用います。
【気滞便秘】:ストレス、気の滞りにより便がつまるタイプ
ストレスによって腸がけいれんを起こし、うまく便が運ばれないタイプです。腸は副交感神経が優位になることで働きがよくなりますが、ストレス状態が続くことによって交感神経が優位になり腸の働きが鈍くなります。ウサギの糞のようにコロコロした便がでることが多いです。便秘と下痢を繰り返すというタイプもいます。ガスが溜まりやすく、お腹が張りやすくなります。ガスはあまり臭くないことが多いです。湯船にゆっくりつかることで副交感神経が優位になり腸の働きがよくなるので、湯船でリラックスするとよいでしょう。柑橘類や香味野菜など気のめぐりをよくする食材もお勧めです。