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漢方コラム 33/313

Vol.282 老化スピードをゆるめる「補腎」!腎は”命門の火”若々しさのバロメーター

≪生命力の低下・老化全般を現す「腎虚(じんきょ)」≫

漢方の視点からみた、老化スピードを緩やかにし、若々しく過ごすための重要なポイントは「瘀血(おけつ)」と「腎虚(じんきょ)」!
瘀血というのは血液の流れの悪さと汚れを指します。老化の影響を受けやすいですが、その他にもストレス、不摂生、運動不足などの生活習慣が大きく関係します。腎虚というのは腎臓だけを指すのではなく、生命力の低下や老化を指すもので、内臓や各器官、代謝機能など、器質面でも機能面でも低下してくことを指します。

瘀血についてはこれまで何度かお伝えしているので、今回は腎虚について説明します。老化による生理機能の低下第1位は腎臓の血流の低下、第2位が腎臓での糸球体濾過量の低下、第3位が心拍数というように老化によってまず一番に機能低下するのが腎臓だと言われています。腎臓、そして、腎に深く関与する器官や機能面を高めることは、老化を緩やかにすることになります。


≪補腎薬で老化の影響がでやすい器官を強化≫

補腎薬といい、腎の働きを高める漢方薬があります。種類はたくさんあり、体質に応じて使い分けていきます。腎は骨や耳や髪、脳などと関係が深いため、腎を強化することで老化により影響が出やすい器官や組織を強化することにつながります。

興味深いのは、補腎薬は骨を強くするという働きがあるとはいえ、例えばある補腎薬はカルシウムを全く含有していないのにも関わらず服用することで体内のカルシウムが増えるという報告があります。これは、食事からのカルシウム吸収が高まるためです。また、黄耆という生薬には骨を形成するために必要なビタミンD活性があり、日光を浴びなくても骨を強くする働きがあることが分かっています。肺と皮膚が表裏の関係のため、乾布摩擦が肺を強化するのによいように、たくさん歩き骨を刺激することは腎を強化することにもつながります。


≪自分自身が持っている力を引き出し、活性化≫

補腎薬は妊活や更年期にもよく用います。ホルモン分泌をよくしたり、ホルモンバランスを整える働きがあるからです。妊活では、なかなか卵胞が育たなかった方がうまく育つようになったり、生理不順が整うなどの変化があります。貧血の方は骨髄からうまく血液成分を作り出せるようになり、鉄剤が必要なくなることもめずらしくありません。

腎は「命門の火」といわれます。命のともしびそのものです。この火を灯し続けるのが「補腎」。外から補うのではなく、自分自身の持っている力を最大限に引き出し、活性化させ、体を保つことが補腎をはじめとする漢方の特徴ではないかと思います。
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