漢方コラム
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Vol.267 睡眠と体温の深い関係〜冷え性だと寝つきが悪くなる理由〜
眠りはホルモンや精神状態、五臓の働きと密接に関係しています。良い睡眠を得るためにはそれぞれに応じた対応が必要です。今回は体温と眠りについて触れたいと思い ます。
赤ちゃんや子どもは眠くなると手足が温かくなりますが、放熱することで深部の温度を下げています。放熱し、深部の体温を下げることで、眠りに入っていくことができるのです。
体が温かくなった後、滑り台式〞に体の中心の温度が下がるのですが、この落差があるほど眠りに入りやすくなります。寝る 1時間前にお風呂に入った方が眠りやすくなるのはそのためです。寝る直前だとなかなか体温が下がらないので、1時間前がベストです。
冷え性の人はお風呂に入ったそばから、手足が冷たくなってしまうため、なかなか放熱できません。深部の体温が下がらないため寝付きにくく、睡眠の質も良くないでしょう。良い睡眠を得るためには冷え性を改善し、末端の血流を改善する必要があります。
漢方薬には不眠に良いものが数多くあります。冷え性タイプの不眠には、まずは冷え性を改善する漢方薬を第一に用います。冷えが改善してくると入眠しやすくなったり、睡眠の質が高くなることが多々あります。冷え性の中でも、立ちくらみ、生理の血が少ない、爪が割れやすい、乾燥肌などの症状がある人は、血が少ないタイプ。夢ばかり見て、長く寝ないと疲れが取れない傾向にあるので、補血作用のある生薬をしっかり用いて血を増やすと熟睡でき、寝起きが良くなります。精 神安定・安眠効果のある処方もできます。専門家に相談の上、体質に合う漢方薬でぐっす りお休みください。