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漢方コラム 58/313

Vol.257 気をつけて!漢方薬の間違った使われ方

漢方薬を用いる時に一番大事なことは、自分に合っているかどうかです。ある漢方薬の箱の効能書きに「胃痛」と書いてあったとします。でも、胃の粘膜が炎症を起こして痛むのか、胃が冷えていて痛むのか、食べ過ぎで痛むのか−というように、胃痛にもいろいろあり、原因によって使う漢方薬は大きく異なります。例えば、胃炎による胃痛がある人が、胃の冷えを取る漢方薬を飲めば胃の炎症が悪化します。「効能書きだけを見て買って飲む」ことは漢方の場合、お勧めできません。
漢方薬は症状だけを抑えるのではなく、根本の原因を改善していくものなのです。
 
先日、たまたま見たテレビで、「耳鳴りに当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)!」と大々的に宣伝しているのを見かけ、椅子からずり落ちそうになりました。

薬事法上、効能に耳鳴りと書けるようになったので違法ではありません。けれどもこうした宣伝は売ることが目的になり過ぎて、本来の治療目的や、利用者への体の配慮が少し後回しになっている印象を受けます。
大手メーカーであっても、「頻尿には漢方○○○(中身は八味地黄丸)」、「脂肪燃焼に△△△(防風通聖散)」「胃の痛みには漢方□□□(中身は安中散)」など商品だけを大々的に症状とくっつけて宣伝しています。

これは決して適切な提案の仕方ありません。

確かに、当帰芍薬散の薬効である血行を良くすることや体内の余分な水を抜くことは、東洋医学において耳鳴りの治療として活用します。ただし、耳鳴りの改善を優先するがゆえに、体全体を見ずに、漢方薬の効能だけを見て局所的に治療を施すと、その他の症状が悪化してしまう場合があります。慢性的なかゆみがある人には、血行を良くすることで余計にかゆみを悪化させてしまうし、細身で乾燥体質の方の場合、過分に水を抜くことで肌や口の乾燥を促進させてしまい、むしろ体を悪い状態にしてしまうことがあります。
 
漢方薬を使う時は入り口(症状)と出口(改善)が一緒でも、出口までいく道が何パターンも存在するということに重きをおいて使わないと、効果が出ないばかりか、体調が悪くなることもあります。

漢方薬を用いる時は専門家による問診の上、自分に合ったものを使うことが最も重要です。正しい漢方処方で、日々を健やかにお過ごしください。
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