漢方コラム
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Vol.255 排卵障害〜生理不順、不妊症の原因〜
卵胞がうまく育たない、排卵が起こらないことによる排卵障害は、生理不順、不妊症の原因の一つです。排卵が起こらない場合に排卵誘発剤を使う方法がありますが、むやみに使い続けると卵巣に負担がかかり、卵巣が腫れたり、良い卵子が育ちにくくなることがあります。
正常に排卵が行われないということは、脳の視床下部、脳下垂体、卵巣になんらかの異常が起こり、正常な働きができていない状態です。極端な体重の増減やストレスなどは排卵障害と大きく関与しており、「今妊娠したら体がたいへんだよ」と排卵にストップがかかっているのです。つまり、体が危機に面しているともいえます。
排卵を正常な状態にするには、体全体の調子を整えていくことが重要です。その人の原因や状態に合わせて体を総合的に 整えていきます。
冷えや疲れ、ストレス、血流障害、不眠、痩せ、肥満など生活習慣を改め、漢方薬と食養生なども合わせて取り入れていくことで、自然排卵が復活することもあります。当店にも体外受精を考えていた方が自然排卵するようになり、自然妊娠した例がいくつもありま す。排卵障害はストレスと密接な関係があります。原因になりうる多嚢胞性卵巣症候群の発症にもストレスが関与しています。
ストレス自体を取り除くことはできなくても、ストレスによって狂ってしまった体の機能を立て直すための手立てはあり、漢方も有効な手段の一つです。そのほか、糖尿病、甲状腺機能の異常などが関与することもあります。その場合は必ず病院での治療を並行して いく必要があります。