漢方コラム
◀
61/313
▶
Vol.254 卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)
卵巣嚢腫(のうしゅ)は 卵巣にできる腫瘍のことで、卵巣の中に液体や脂肪が溜まってできます。中の液体の種類によって、透明の液体が溜まった「漿液性(しょうえきせい)」、粘度の高い液体が溜まった「粘液性」、毛 髪や骨、歯、皮膚などの混じったドロドロした液体が溜まった「成熟嚢胞(のうほう)性奇形腫」に分けられます。
ほとんどは良性の腫瘍で無症状のことが多いのですが、お腹の張りや腹痛、月経の異常が見られることもあります。妊活や妊娠を機に見つかったり、卵巣嚢腫が大きくなってねじれてしまう茎捻転(けいねんてん)を起こして発覚することもあります。捻転を起こすと激痛で組織壊死を起こしてしまうことも。
卵巣嚢腫は婦人科相談の中でも相談が多い疾患の一つです。できものができる背景には、必ず瘀血(オケツ)が存在します。瘀血とは血液の流れが悪い状態で、原因は冷えやストレス、生活習慣や食事内容の悪化による血液の質の低下、老化、貧血、内臓機能低下などが考えられます。
瘀血になると、体に必要ないものが溜まりやすくなります。これは卵巣嚢腫に限らず、子宮筋腫や子宮内膜症、そのほか疾患にも当てはまるため日々を通しての養生が病気予防には重要です。
体温以上のものを口にする習慣はすべての女性に身につけてほしいと思います。漢方は体質を改善することで治癒力を高めていく医学です。漢方で卵巣嚢腫が小さくなったり、実際に消えてきれいになるということは度々あります。しかし、必ずと言い切れるものではないので、まずはこれ以上の進行を防ぐために体質を改善していきましょう。