漢方コラム
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Vol.243 やっかいな長引く咳〜薬やステロイド吸入でも治まらない〜
空気が乾燥して寒くなるこの時期、咳の相談が増えてきます。咳は2、3カ月から長い方で5年ほど咳が止まらないという場合もあります。咳止めやステロイド吸入をしても良くならないという咳に、漢方が有効な場合がよくあります。
先日40代女性から「何か月も咳が続き、ステロイド吸入をしても治まらない」とご相談がありました。問診をして漢方をお出ししたところ1週間で良くなり喜ばれました。この方は職場のエアコンが強く、舌を診ると苔が少なく、粘膜の潤い低下がみられたため、肺を潤し咳を鎮める処方をお渡ししました。
約2カ月咳がとまらないという 60代女性にも肺を潤す処方をしました。本人は風邪だと思っていたようですが、咳以外の症状は無し。痰の無い空咳で、この方も舌の苔がなくツルツル。これがまさに乾燥のサインです。 詳しく問診してみると、「水分をとると咳き込むから」と水分も控えていたそうです。
一般的な医薬品には痰を切るものはあっても、気管支や肺を潤すことで咳を鎮めるという医薬品はほとんどありません。肺は臓器の中で最も乾燥を嫌います。乾燥の原因は、空気が乾燥しているという外的要因もあれば、体質的に体の潤いが低下している内的要因もあります。咳の原因はさまざまです。舌の苔が厚く、体の水分代謝が悪く停滞しているためにひどくなる咳には前述とは全く異なる処方を用います。咳が長く続く場合、自分に合った漢方を試してみてはいかがでしょうか。