漢方コラム
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Vol.241 産後の養生〜女性は一生、血を消耗し続ける〜
女性の生理期間は平均35 年といわれます。1か月の経血出血量の平均が150tとすると、1年で1800t、35 年で6万3000t。加えて妊娠出産、母乳育児によっても大量の血液が消耗されるので、女性は一生、血を消耗し続けます。
中医学(中国伝統医学)の本場・中国では、女性は「冷やさない」、「産後100日間は十分滋養する」、「子宮や体の回復に積極的に努める」など、 養生が生活に根付いています。
中医師(中医学の医師)によると、日本人の産後養生の意識が低いことが、
「育児ノイローゼ」
「うつ」
「不眠」
「脱毛」
「母乳分泌不足」
「便秘」
「お肌のカサつき」
などに大きく関与しているといいます。産後トラブルのほとんどは血の不足が関わっています。
中国の人は生理中や妊娠中、産後に鉄分の多いなつめをたくさん食べ、鉄鍋での調理、魚や地鶏、野菜の豊富なスープを摂って、血を増やすことに専念します。産後は血を増やす漢方薬も積極的に飲まれます。
日本ではそのような習慣自体がないため、妊娠中や産後でも冷たいものをよく口にしますし、産後は自分よりも子供の世話優先になってしまいます。
産後便秘は陰血不足といって、体液や血液不足 が関与します。産後うつやノイローゼになるのは育児協力者があるかどうかなど環境要因以外に、体質も大きく関わります。血が不足すると、不安やイライラを感じやすくなり、眠りが浅く夢を多く見ます。生理周期が長 いのも血の不足です。生理中や産後、しっかり血を増やすことが産後の体調回復、第2子3子妊娠への道すじとなり、更年期の予防にもつながります。