漢方コラム
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Vol.226 男性不妊〜状況に応じて漢方と病院と治療を併用〜
不妊で男性側に問題がある場合、一番多いのは「造精機能障害」で、男性不妊の8割から9割にあたります。何らかの要因で精子が正常に作られなくなったり、質が悪くなったりします。原因は内分泌異常やホルモン異常、精巣のねじれ、環境汚染、静脈瘤などさまざま。5割から7割は原因不明の突発性です。
精子をつくる工場の問題以外にも性機能障害や精子が通過する道がふさがっているということもあります。
漢方では乏精子症や精子無力症など精子が少ない場合や、性欲の低下などで対応可能です。しかし、無精子症や内分泌性の疾患があれば病院での診断が必要ですし、精索動脈瘤がひどい場合は手術が必要です。免疫性の場合は病院治療と漢方の併用が有効で、慢性の前立腺炎なども同様に漢方を合わせると良いでしょう。
このように状況に応じて漢方の併用が効果を発揮することはよくあります。東洋医学は局所的な治療ではないために、体全体を整えていきます。 例えば、精子を魚で例えるなら、問題点は魚が少ないことと、川が汚いこと、川床が通れないとい うことです。川をきれいにして、魚を増やし、川床の通りも良くするということが漢方治療です。個人差はありますが、実際には3カ月目以降から数値に変動がみられることが多いです。なぜ、精子が少ないのか、炎症が起きているのか、つまっているのか体を全体的に見て体質的弱点やお酒やたばこなどの嗜好品、ストレスや疲れなどの影響を考えることが重要です。