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漢方コラム 97/313

Vol.218 母乳と漢方〜乳腺炎〜

漢方薬は授乳中でも安心して飲めるものも多いので、おっぱいトラブルにもうまく活用すると良いです。ただし、その使い方や使う時期、使う期間は漢方処方や症状によって大きく異なります。

例えば、一般的に乳腺炎には葛根湯が用いられているようです。葛根湯には肩や肩甲骨当たりの血行の促進、催乳作用があるため母乳分泌などにも使われることがあるようです。しかし、葛根湯には麻黄という生薬が使われており、長期の使用や、赤ちゃんにとっては注意が必要です。また、葛根湯は全体的に温性で温める働きがあるため、炎症が起こっている乳腺炎に適した処方とはいえません。乳腺炎がひどくなる前の「ぞくぞく寒気がして発熱しそうな段階」に飲むと効果的です。

もし、乳房が熱を持ってしまった場合には清熱解毒作用のある生薬や漢方薬で炎症を鎮めることが望ましいでしょう。タンポポ茶もよく母乳のために使われますが、タンポポの根は蒲公英(ほこうえい)といい、清熱解毒作用があります。
東洋医学では、乳腺炎は肝経と胃経の熱と考えられます。蒲公英は肝・胃二経に入り、乳竅(にゅうきょう/母乳が通る道・穴)を通じるため、乳腺炎の要薬といえます。血行を促進し、温めておっぱいの出を良くするために使うというより、冷やす作用・清熱解毒作用により、乳腺の炎症を鎮めるのに適しています。おっぱいトラブルは助産師さんなどプロに相談し、その上でうまく漢方薬や生薬を取り入れるのが良いですね。
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