漢方コラム
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Vol.217 中医学的にみた食べ物のよい組み合わせ悪い組み合わせ
生薬の組み合わせはとても大切です。組み合わせは「1+1=2」のような上乗せではなく、それぞれの効果を引き出して高めたり、必要な臓器に作用したり、無毒化したりという効果があります。例えば、蓮子(ハスの実)と大棗(なつめ)を組み合わせると精神安定作用が高まり、緑豆と附子を一緒に用いるとトリカブトの根である附子を無毒化させたりできます。
食事も同様で組み合わせ、相性というものがありますね。秋刀魚の塩焼きには大根おろし、魚介類に紫蘇や生姜など、魚のコゲの発がん物質を大根が解毒してくれたり、 紫蘇や生姜は食中毒予防の働きがあります。ほかにも冬瓜と小豆(利水作 用)、かぼちゃと小豆(毒素排出)、人参とほうれん草(血流守る)、豆腐と海老(高血圧等)、マッシュルームとニンニク(マッシュルームの毒性解毒)などは良い組み合わせです。それぞれすぐに料理が思い浮かびませんか?どれも理にかなった組み合わせなんですね。
一方で、なますなど一緒に使う場合が多い人参と大根。この組み合わせ、漢方では昔から悪いと考えられています。現代医学的には、酵素の関係でカロチンが分解してしまい、栄養効果が望めないということが分かってきています。蜂蜜とネギ、カニと柿なども中医学的には相反関係です。そのほか、牛乳とバナナ(消化不良)、お茶と昆布(昆布の鉄分吸収妨 げる)など意外なものもあります。たらことソーセージ、ソースとハムなど食品中に含まれる化学物質の組み合わせによって毒性が生じる場合もあるので要注意です。