漢方コラム
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Vol.216 この時期、膝や関節に水がたまるワケ 〜めまい、頭痛、腹痛、軟便下痢、咳、痰、鼻水、倦怠感などにも〜
夏も終わりごろになると、膝や股関節に水が溜まって痛いという相談が目立ってきます。これは夏の間の水分の摂りすぎ、エアコンや冷たい飲み物、シャワー生活などによって体内の水分の循環が悪くなっていることと関係していることも。
中医学では水湿や痰湿といって、体に余分な水分が溜まることでさまざまな体調不良を招くと考えます。関節に水が溜まる以外にも、めまい、頭痛、腹痛、軟便下痢、咳、痰、鼻水、倦怠感など。気の流れや血の流れ同様、水の流れも非常に重要で、体内の水分の過不足が体調を大きく左右します。
体内の水分は汗や尿として排出されますが、五臓の「肺」「脾」「腎」のどれかの臓器が機能低下していると、水分代謝が低下してしまいます。脾とは胃腸機能のこと。胃腸機能が落ちると、舌が腫れぼったく大きくなって歯形がついたり、苔がべっとりついたりします。これは体に余分な水分が溜まっている証拠。
おりものの量が多く白っぽい場合に、胃腸機能を高め、水の流れを整える漢方薬を使うとピタッと治まります。これらが痰 湿です。体内の水の流れをスムーズにするには、▼肺、脾、腎の機能に注目すること、▼冷えを生まない養生―がカギとなります。
「足がむくんでいるときのふくらはぎは冷たい」というように、冷えには要注意です。入浴の際は湯船にしっかりつかり、飲食も体温以上のものを 口にする生活を!
漢方は膝や股関節などに水が溜まる際の治療にとても有効で、関節に溜まった水が抜け、痛みも和らぎます。体質に応じた処方の選択をしましょうね。