漢方コラム
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Vol.206 ちょうどよい「中庸(ちゅうよう)」〜自然界のバランスを取り入れた漢方!他と比べず、自分のベスト〞を探る〜
漢方の心得は「中庸(ちゅうよう)」です。過不足なくほどほどという意味で、バランスを重視する考え方です。
どんなに良いことでも過ぎればバランスを崩します。喜び過ぎれば「心(しん)」の働きを傷つけるし、フルーツが体に良いからと毎日大量に食べれば体は冷えに傾きます。漢方薬の効果も中庸を目指しています。例えば血圧に良い漢方薬は、血圧を下げ過ぎてふらつくということはないし、血流を良くする漢方薬で血が止まらなくなるということもありません。
自然界はこのようにバランスをとる働きを備えています。例えば田七(でんしち)人参は血流を良くする働き と、出血を止めるという相反する働きを持ちます。体の中で血の流れを良くし、出血があれば止めるという調節機能があるのです。目指すのは常にちょうどよい状態に整える、バランスを取るということ。
ちょうど良い〞は人それぞれ違うので、全体の平均値が自分に良いとは限りません。自分の中庸であることが何より大切です。「この方法で良くなった」とか、「平均体重が何キロ」とかはあまり気にする必要はな く、自分にとってのベストが最優先事項です。
食べ物のベストも人それぞれで、ヨーグルトで便が出る人もいれば、お腹が冷えて便秘が悪化する人もいます。栄養素や成分だけをみて全体的な食事のバランスを見るよりは、自分自身にとって何が体のバランスを整えてくれるのかを基準にみていくほうが体調は整っていきます。