漢方コラム
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Vol.205 一見関係のない漢方で症状がよくなる?!五臓の親子関係、親戚関係をよみとり症状を改善!
春。進学や就職、異動や転勤など何かと環境の変化がある時期です。
毎年異動がある職種の40代女性から、いつも4月になると声がかすれて出なくなるとご相談がありました。毎年のように4月には声がかすれて出なくなり、いつもなら1か月ほどで声が戻っていたのが、去年は1年間ずっと声の調子が悪いままだということでした。
東洋医学では五臓六腑の関係性は下図のようにあらわされ、肝→心→脾→肺→腎(→肝にもどる)の順番で助け合っています。これを相生関係といいます。
親子関係であり、肝が親で心が子、心が親で肺が子、というように親が子を助け育て、子もまた母の苦労を癒しています。母親の調子が悪くなると子の面倒が見られなくなり、子の調子が悪くなります。子どもの夜泣きは親を疲れさせる…というように影響しあっています。
これに対し、相克(そうこく)関係というのは肝→脾→腎→心→肺(→肝にもどる)というように真ん中に星の形で制約(抑制)しています。
例えば、ストレスで胃が痛い、という症状はストレスと関係の深い肝の働きが乱れ、脾(消化器系)が攻撃されてしまい起こった状態です。
この女性には、喉の漢方薬は使わなかったのですが、五臓の関係性を改善することにより、声のかすれが1か月経たずに改善されました。用いた漢方薬は心を落ち着け心火を鎮める処方、心と肝の血を補う処方と、気の流れを整える処方を組み合わせて使いました。声のかすれは肺系のトラブルですが、肺の調子を狂わしてしまった原因は、毎年の異動での心労。関連臓器の働きを調整し、心の火を消すことで相克関係である肺系の働きが正常に戻ったよい例です。