漢方コラム
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Vol.199 "張る”という症状から分かること
お腹が張る、生理前になると胸が張る、脇あたりが張って痛い、こめかみが張ったように痛い、など「張る」という症状。生理前に胸が張るのはもうすぐ生理が来るサインと思われがちですが、生理前の胸の張りはないほうが正常。
東洋医学では「張る」という症状は、気滞(きたい)があると判断します。気滞とは字のごとく気の滞りです。前回「女性の体は常に気が余り、血が不足である」ということを書きましたが、多くの女性は気滞があり、実際に、気の巡りを整えていく漢方薬を用いることで「張る」という症状が随分と解消されます。
気が滞るとはどういうことかというと、ストレスやイライラ・憂鬱だけをさすのではなく、自分ではそれなりに毎日を過ごしていると思っていても、几帳面だったり、優しくて気を遣う性格の方、時間に追われていたり忙しくて常に脳がオンの状態であれば自分でストレスを感じていなくても気滞が生じます。食べ過ぎによる食滞も気滞につながりますし、気候や外傷も気滞につながることもあります。
お腹の張り、膨満感、ガスが溜まるなどの症状は冷えや便秘、胃下垂などでも起こりますが、気滞が関係することも多くあり、この場合、気を開いて胃腸症状を整える漢方薬を使うことで張りがよくなります。気は肝と関係が深く、脇や胸、下腹部、鼠径部、足の内側など肝の経絡で症状が起こりやすい特徴があり、舌の外側が赤くなっている場合も気滞のサインになります。肝は婦人科とも関係が深いため、生理前のイライラや排卵前後の体調不良等PMSにも気滞が関係してきます。この問題は肝血を補い、気を巡らす漢方薬で解消できます。