漢方コラム
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Vol.184 不妊招く「高プロラクチン血症」
《プロラクチンの過剰分泌で排卵障害に》
不妊症には検査をしても異常無しのケースがよくあります。また、検査で原因が分かる場合もあり、不妊症と関係する疾患もあります。その一つが高プロラクチン血症です。
妊娠中に分泌されるホルモン「プロラクチン」が過剰に分泌されて排卵障害を起こす病気。症状は産後に出るはずの乳汁が漏れ出てきたり、生理前に胸の張りがひどくなったり、頭痛になる人もいます。生理前に胸が張ることがありますが、強く張ったり、触れると痛い状態は正常ではありません。また、基礎体温がガタガタする特徴があります。
《昼と夜とで数値が変動するため要注意》
プロラクチンが過剰分泌されると排卵障害になり、妊娠しにくくなるのです。血液検査で分かりますが、検査で異常がなくても潜在性の高プロラクチン血症に気をつけなければいけません。プロラクチンは昼と夜とで変動します。夜に高くなりやすいため、昼間の検査で分からないこともあります。夫婦生活は夜のことが多いと思いますし、その点も配慮が必要です。
東洋医学的には「肝」と密接な関係にあると考えます。肝は肝臓だけを指すのではなく、自律神経系や精神情緒とも密接な関わりを持ちます。ストレスを受けやすい人やイライラしやすい人、気疲れしている人は体質的になりやすいといえます。そのため、肝の働きを整え、気の巡りを調節するような漢方薬がベースになり、プロラクチン値を下げる働きのある生薬を用います。そのほかにも、胃腸が弱い、血が少ない、腎の働きが弱いなど、体質的要因も関係してくるため、総合的に整えていくことが大切です。