漢方コラム
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Vol.183 漢方で掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)・・・手のひらや足の裏に水ぶくれ・炎症
皮膚のトラブルの中で掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)があります。金属アレルギー説、感染病巣が原因という説、腸内環境の悪化などさまざまな説がいわれていますが原因がはっきりせず、治療法が無いことから近年相談が増えています。
手のひらや足の裏に無菌性の細かい水ほうができ、次第に膿ほうになり皮がむけてきます。ひどくなると赤く熱をもち、手のひらや足の裏全体に広がって痛くなったり、爪がボロボロになって物がつかめなくなったり、足が腫れて歩けないことも。水虫に似ているので、白癬菌がいるか調べる必要があります。
皮膚科特定疾患の難治性疾患で、難病といわれていますが、漢方で改善する例が多くあります。この疾患を改善するためには、皮膚表面の問題でなく体の内部に問題があることを理解し、体内の大改造を図る必要があります。この疾患の特徴は鎖骨や胸の中央部分などが痛むことがあり、皮膚症状が良くなるとこの痛みも治まっていきます。このことからもわかるように、問題は体の内部にあります。
中医学(中国伝統医学)では熱毒・湿熱・血熱とみて、体に溜まった毒素を排泄し、血液の浄化、炎症をとる清熱利湿、涼血解毒の働きのある漢方薬をメインに用います。胃腸が弱い、ストレス過剰、貧血など体質も重要です。タバコ、アルコール、コーヒーは症状が悪化するため控えます。食事は和食中心に改善していきます。
*写真は70代女性です。掌蹠膿疱症を発症し、ステロイドを使用したところみるみるうちに悪化し爪はボロボロに。皮膚が裂けて痛むし物はつかめないしという状態で、常に手袋をしていました。別の相談で当店に通っていらしたところ、ふと手の症状の話になり、漢方薬を飲み始めたところ、1か月で大きく改善し、大好きだったお酒とコーヒーをやめたあたりからはみるみるよくなっていきました。1年以上経った今ではほぼ元の状態にもどりましたが、この方の場合はそばとコーヒーを口にするとむずむずとしはじめ水疱が出だすため、その二つには注意しているようです。