漢方コラム
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Vol.174 風邪予防の「矛」と「盾」
今年も板藍根(ばんらんこん)の季節がやってきました。もちろん年間を通してお役立ていただけるものですが、風邪やインフルエンザが流行りやすい今の時期は特に欠かせない存在です。
板藍根は漢方を学んで、すごさを実感したものの一つ。当時はこんな良いものが世間でほとんど知られていないことが不思議でなりませんでした。年々、板藍根の知名度が高まり、嬉しい限りです。生薬は苦いというイメージだったのが、香ばしく飲みやすいということが人気の理由の一つかもしれません。
中には、「板藍根を飲んでいたら絶対大丈夫なのかと思ったら風邪をひいちゃったよ」という人もいますが、例えるなら板藍根は「矛」であり、体質改善し、強化するものではありません。抗菌抗ウイルス作用があり、ウイルスが出す毒素を中和する働きがあり、のどに良いものです。しかし小さな子どもからお年寄りまでだれでも用いることができ、副作用などの心配がほとんどないことから風邪の予防やのどの弱い人などに用いられます。「風邪やインフルエンザにかかりたくない!」ここぞ〞という時にとても重宝します。
板藍根は矛ですが、本来は体を守る「盾」、つまりバリアを強化しておくことは欠かせません。頻繁に風邪をひく、体力の低下が著しい、多忙で睡眠不足、食欲がないなど、体自体が弱っている場合は鎧を身にまとう感覚で使える漢方薬で体を強化していく必要があります。矛と盾、それぞれを身につけて、冬を快適に過ごしましょう。