漢方コラム
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Vol.173 「食べられない」「元気がでない」胃腸トラブル
胃腸が元気な時は好きなものをお腹いっぱい食べて負担をかけがちですが、胃腸の調子が悪いと食事をおいしく食べられず、元気もわいてきません。そして、胃腸が元気なことはなんとありがたいことだろうと気づきます。漢方薬は胃の痛みを止めたり、もたれを改善したりといった胃薬としても活躍しますが、何よりも胃腸の機能そのものを回復させる力〞が魅力だと思います。特に、化学療法や胃を切除した人の胃腸機能の回復に、漢方パワーを発揮します。
80歳の男性が昨年、胃癌のため胃の3分の2を切除しました。過去に急性膵炎や胆石を患い、数年前から食欲が落ちて体重が減っていました。70キロあった体重が術後47キロまで減り、自分の好きなものを少しずつしか食べられず、食べ過ぎるとすぐに下痢をするということで相談に来られました。胃腸機能を高める漢方薬をお勧めしたところ、食欲が高まり、下痢もせず、3か月後には外食ができるまでに回復。こんなことは何年ぶりだろうと大変喜ばれました。
別の71歳男性は癌治療を2年半続けており、抗癌剤を変えてから2か月ほどで食欲が減退し、抗癌剤を中止するも45キロから体重が増えない状態が2か月ほど続き、相談に来られました。漢方を飲み始めて1か月もたたずに3キロ増え、「体力が回復してきた!」と報告がありました。
漢方薬は内臓が正常な働きをするようにサポートします。薬の力ではなく、自分自身の内臓がしっかりと機能するように働きかけるため、結果的に体力、気力が回復してきます。