漢方コラム
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Vol.172 不眠は現代人の5人に1人が抱える現代病
睡眠は心身の健康のために重要です。しかし、睡眠にトラブルを抱えている日本人は5人に1人ともいわれ、夜遅くまでスマホやパソコンなどの強い光で目を酷使したり、頭脳労働やストレスなどにより脳が過緊張状態になっていることが要因ともいわれています。このようなタイプの不眠には高ぶった気を静め、精神を安定させる働きのある漢方薬が効果的です。
人は体温が下がることによって眠りに入り、その温度の落差が急であるほうが眠りやすくなります。小さい子どもは眠くなると手足が温かくなりますね。手足が温まると脳の温度が低下し、眠くなります。そのため入浴は寝る1時間前がベストといわれます。体が冷えているとうまく眠りに入れないため、冷えの改善が必要なのです。
若い女性や高齢者の不眠は、体の元気や血液が足りないために体が冷えてうまく眠れないということがあります。このようなタイプは眠っても夢ばかりみて、熟睡感がないため疲れが取れません。この場合、元気や血液をしっかり補い、脳の血流を良くすることで自然の眠りをサポートする漢方薬を用います。安眠のほか、不安感を取り除く働きもあり、精神安定にもつながります。
不安感を感じやすい人や悪夢を見る人は脳の背側前頭前野という部分の血流が悪くなっているそうです。座禅などをすることで受け流す力がついている人の背側前頭前野は血流が良く、分厚くなっているそう。漢方薬は脳の血流状態を良くする働きもあるため、心身のバランスを整えるサポートになると考えます。