漢方コラム
◀
144/313
▶
Vol.171 一年を通して調子が悪い「血管運動性鼻炎」
《花粉の時期だけでなく、一年中鼻がグシュグシュ》
朝起きるとくしゃみを連発、鼻水ジュルジュル、といった方は血管運動性鼻炎かもしれません。血管運動性鼻炎は検査をしても抗原はみつかりません。花粉症の場合は、身体が花粉を異物だと認識し、過剰に反応して免疫システムが働きすぎることによりくしゃみや鼻水などが起こります。
血管運動性鼻炎の場合は鼻の粘膜の自律神経の乱れによるものが主な原因といわれており、温度差の刺激やストレスなどによって起こります。特に、暖かいところから寒いところへの急激な環境変化によって起こりやすく、布団から出たり、通勤や通学のため外に出た途端、夏場エアコンのきいた部屋に入った途端に激しく症状が出ます。別名「温度差アレルギー」などともいわれますが、花粉やほこりが刺激になって症状がでることもあります。
しかし、アレルギー性鼻炎とは起こるメカニズムが違い、目の痒みなどはでません。鼻の粘膜があらゆる刺激に敏感になってしまっている状態といえます。現状ではアレルギー性鼻炎と同じお薬が使われ、なかなか根治の薬はないといわれています。しかし、血管運動性鼻炎に漢方薬はよく効きます。鼻の粘膜の血流が悪い方が多く、この点を改善していくことも重要なポイントになります。また、背景にはさまざまな体質的要因がからんでいるため、体質の改善も同時に行っていくことが根治につながります。そのため、同じ症状であったとしても、漢方の場合は用いる処方は人によって違うこともありますので、自分に合ったものを用いましょう。