漢方コラム
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Vol.169 骨の形成に深く関わる”腎”のお話
《腎〞の働きが弱くなると老化を招く》
腎臓は骨と密接な関わりを持っています。骨の形成にとても大切なビタミンDは、体内に吸収するために活性型ビタミンDにする必要があり、それを腎臓で行っています。腎臓の働きが低下すると、カルシウムを体内に吸収できなくなります。ビタミンDを活性化ビタミンDにするにはエストロゲンなどのホルモンが必要です。女性が閉経後、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減少して骨粗しょう症になりやすくなるのはそのためです。
東洋医学でいう腎は、腎臓だけを指すのではなく、泌尿器系、生殖、発育に関わる内分泌系の働きも指します。「腎」の働きが低下するということは老化を示しており、ホルモン分泌の低下、生殖機能の低下、骨がもろくなることにつながります。
中国伝統医学(中医学)を勉強してつくづくすごさを感じるのですが、中医学では3000年も前から「腎」が骨の形成や維持と深く関わっていることを分かっていたんですね。漢方では腎を強化する補腎(ほじん)〞のための漢方薬がいくつも存在します。
いつまでも自分の歯で食事をできるように、また腰痛や骨折を防ぐために、そして更年期障害の予防の意味でも腎の働きが低下する35歳を過ぎたら補腎(ほじん)〞が重要です。いくら一生懸命カルシウムを体内に取り入れても、腎の働きが弱まっていると骨を強くすることはできません。補腎薬にはたくさん種類があるので、自分に合った漢方薬を提案してもらいましょう。