漢方コラム
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Vol.161 漢方で自然治癒力を引き出して病気予防
《症状の原因を改善し、根本的な治療を》
漢方薬が通常の合成医薬品と大きく違うのは、症状に対してピンポイントに働きかけ局所的に作用するのではなく、症状の根本的な原因をみつけ、体全体のバランスを整えることでつらい症状を緩和させていく点にあります。東洋医学が「木ではなく森をみる医学」といわれる所以です。例えば、生理痛の痛みだけ〞を取ったり、生理自体を止めるのではなく、痛みの原因である「骨盤内の血流障害」を改善していきます。なぜ血流障害が起こっているかを見極め、冷えが原因と判断すれば、その原因を改善させることで生理痛を根本的に治していきます。そのため、生理痛のみならず、花粉症や不眠、便秘など他の症状まで良くなることもあります。
漢方は症状を無理やり抑え込むのではなく、人間が本来持っている、治ろうとする力「自然治癒力」を高めることで病気の回復を早くしていきます。自然治癒力が低下していると、始終風邪をひき、なかなか治らなかったり、傷の治りが悪く痕が残りやすい、といったことになります。病気になるときも、邪のほうが治癒力を超えてしまうために起こります。
現代人は自然治癒力が低下しているといわれます。漢方は自然治癒力を最大限に引き出し、異常がある部分のバランスを整え、予防していく役割を担います。漢方や漢方の考え方がもっと生活に根付いていけば、病気の芽を小さい内に摘むことができ、未然に病気を防ぐことが可能になるのではないでしょうか。