漢方コラム
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Vol.154 体に穏やかで老若男女に使える生薬「五行草」@
秋口に、風邪やインフルエンザ予防に最適な「板藍根(ばんらんこん)」を取り上げました。今回もとっても優秀な生薬を紹介します。「五行草(ごぎょうそう)」という生薬。茎が赤く、葉が緑、花が黄色、根が白、実が黒く、陰陽五行の5色に一致することから五行草と呼ばれます。和名は「スベリヒユ」。生薬名は馬の葉に似ていることから、「馬歯見(ばしけん)」といいます。さまざまな効能があり、日常的に飲める私の大好きな薬草の一つです。ヨーロッパや中国では食事として食べられているもので、私も中国研修の時に五行草の炒めものを食べた記憶があります。
主な働きはというと、皮膚症状、感染症、胃腸症状、湿熱症状(体に余分な老廃物や水分がたまっている状態)などを改善してくれます。湿疹やアトピー性皮膚炎、ニキビ、日焼け、虫刺されなど皮膚に炎症が起こっている時に重宝で、痒みや赤みに対して「清熱解毒」の力を発揮します。
抗アレルギー作用があるのでアレルギー性の皮膚疾患にも良いですし、かゆい時は内服だけでなく外用にも使えます。あまりにひどい痒みや赤みには五行草だけでは鎮めきれないので、その他の生薬や漢方薬を組み合わせる必要があります。
五行草は体に穏やかで、胃腸など内臓への負担もほとんどないため、小さなお子様のアトピーなどにも用います。実際には症状やその人の体質に合わせて、五行草と他の漢方薬を合わせて処方することが多いです。