漢方コラム
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Vol.152 春から元気に活動する為の冬の養生法
《重要ポイントは「自然と調和すること」》
冬をどのように過ごすかで、春夏を元気に過ごせるかどうか、大きな違いが出てきます。東洋医学で一番重要視しているポイントは「いかに自然と調和するか」。自然界の法則に逆らって生活すると、その後、必ずしっぺ返しがきます。冬になると、植物も動物も最小限の活動にとどめ、栄養を蓄えています。日暮れが早く、夜明けが遅いこの時期は「早く寝て、遅く起きること」、「あまり活動的に動きすぎないこと」、「汗をかき過ぎないこと」、「働き過ぎないこと」-が大切な養生法になります。
冬は五臓でいうと「腎(じん)」が活発に働き、身体はその影響を受けやすくなります。腎は腎臓だけを指すのではなく、成長、発育、老化に深く関わり、ホルモン、内分泌系の働きも指します。骨や耳などにもつながるため、骨がもろくなったり、耳のトラブルなども多くなります。
近年、若い人でも長時間立っていることができず、足腰が弱ってきているといわれます。食事の影響や運動不足もあるでしょうが、「腎虚(じんきょ)」といい、腎の働きが若くして低下しているという若者が増えているからとも考えられます。
腎の機能低下は言い換えれば「老化」です。生理不順や不妊症、更年期障害など生殖、ホルモンバランスとも深く関わっています。寝不足や過労など無理のし過ぎ、体の冷えも腎の働きの低下を招きます。
漢方では「補腎薬(ほじんやく)」を用いて腎の働きを調整します。食材では黒いもの(黒米、黒豆、黒ゴマ)などがお勧めで、常食することが重要です。