漢方コラム
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Vol.142 夏の疲れを秋に持ち越さないために…
夏バテを漢方の視点で診ると、五臓の中でも主に「心」「脾胃(消化器系)」「肺」の3つの臓が影響を受けます。各タイプに良い食材と漢方薬の代表例を紹介します。
【心の疲れタイプ】...動機、息切れ、胸苦しい、手足・胸の痛み、不眠、冷えなどの症状が出ます。このタイプは汗のかきすぎに要注意。汗のかきすぎは血液の消耗につながり、血液がネバネバして心臓に負担をかけます。寝不足も要因の一つ。食材では心の気・血を補う百合根、蓮の実、小麦、玉ねぎ、ぶどうなどがおすすめ。漢方薬は麦味参顆粒(生脈散)、冠元顆粒、婦宝当帰膠など。
【脾胃(消化器系)の疲れタイプ】...食欲不振、体が重だるい、疲労倦怠、下痢または軟便、舌の苔が白く厚いなどの症状がみられます。高温多湿の日本の夏は胃腸の働きを弱め、元気不足になりがち。冷たいものの摂り過ぎもNGです。元気をつけてくれる大豆、山芋、じゃがいも、かぼちゃ、もち米、なつめなどを積極的に取り入れて。漢方薬は補中益気湯、六君子湯、参苓白朮散、勝湿顆粒、晶三仙など。
【肺の疲れタイプ】...汗っかき、風邪をひきやすい、皮膚や粘膜の乾燥、咳や痰がでる、体が冷える、息切れしやすいなどの症状がみられます。冷えや胃腸機能の低下により、免疫力が落ちてしまうのです。「肺」は乾燥を嫌うので、白キクラゲや蓮根、白ごま、梨などが良いでしょう。漢方薬は麦味参顆粒(生脈散)、衛益顆粒、板藍根、など。
それぞれのタイプに合った漢方で、夏から秋へ元気にお過ごしください。