漢方コラム
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Vol.121 足がつる″「った『こむらがえり』
≪冷えや疲れ、ストレスによる血液循環の悪化 「栄養が届いてない!」という身体からのサイン≫
急に足がピキーンとひきつったように痙れんする『こむら返り』。日一日と寒くなる今からの季節、体が冷えたり、疲れているとき、睡眠中、妊娠中などに起こりやすくなります。一度なるとクセになり、何度も繰り返す人も多いようです。中医学的には肝の血の不足・血行不良のタイプに多くみられます。
肝というのはただ肝臓を指しているのではありません。血を蓄える肝に血液が不足し、筋肉に栄養が届かずに痙れんを起こしているのです。肝は自律神経系にも関係の深い臓器で、こむら返りはストレスとも関係が深いといわれています。
人間はストレスを感じると血管や筋肉が緊張し、血流が悪くなります。こむら返りは「ここに血液が届いていませんよ!」という体からのサイン。しびれや痙れんはその部分を振動させて血液を集めようとしている防衛反応でもあるのです。そのため、血流が停滞しやすい睡眠中、糖尿病や閉塞性動脈硬化症の人など、下肢までうまく血液が循環していない人がなりやすいのです。
こむら返りは日常的によく見られる症状ですが、頻繁になる場合はほかの病気が隠れている可能性があります。対処法は足を冷やさず、常に血流を良くしておくこと!こむら返りには「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」という漢方薬が有名です。筋肉の痙れんを抑える働きがあり、即効性もあります。ならないようにするためには肝の働きを高め、血液の流れを改善する漢方薬を継続すると本質的な改善になり、繰り返しにくくなります。