漢方コラム
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Vol.117 ご主人は大丈夫? 「男性更年期」
《体の不調だけでなく心の不調も…単なる老化ではない様々な症状》
近年、注目されている男性更年期。昔からあったものの、男性更年期は女性の閉経のように、目にみえる変化がなく、社会通念によりなかなか認識されなかったようです。多くは55歳前後にみられますが、個人差が非常に大きいのも特徴で、最大30歳もの幅があります。症状は▼やる気がでない、▼眠れない、▼イライラする、▼憂うつ感、▼動悸、▼めまい、▼肩こり、▼頭痛、▼頻尿、▼排尿硬軟、▼精力低下−などが挙げられます。
男性ホルモンの低下は老化のほか、ストレスや過労などが大きく影響しており、その結果、腎臓や精巣の機能が衰えて血液中のテストステロンが減り、自律神経が乱れて症状が出てきます。不眠になったり、心に充実感がないなど心の不調を伴うことも多く、放っておくとうつ病になることもあります。
また、男性・女性ホルモンには血管保護作用があり、更年期までは動脈硬化が起きにくいとされています。女性は閉経後、急激に女性ホルモンが低下しますが、それまでの保護作用が強いため熟年期まで作用がある程度持続します。男性ホルモンは女性ホルモンほど強力ではないため、ホルモン量の低下とともに動脈硬化が進みます。男性の場合50〜80代で循環器疾患による死亡が増えてきて、動脈硬化対策が必要になります。
漢方では補腎薬(生殖機能の働きを高める)を中心に、活血薬(血流改善、血管強化)、その他各々の症状を中心に漢方薬を使い分け、つらい症状緩和をはかります。