漢方コラム
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Vol.108 「この痛みから解放されたい」痔の悩み…
《痔の出血や月経過多に効果のあるハス〞》
意外と多くの方に経験がある「痔」。部位が部位だけに、なかなか相談しにくいですよね。人間は2足歩行で、肛門部位に重力がかかりやすい状態にあることから、排便の時にいきんだり、ずっと座りっぱなしで血流を滞らせたりするとうっ血状態になり、痔になりやすくなります。
化膿している痔ろうや、激しい出血は他の病気の可能性もありますから、病院に行くことをお勧めします。そこまでではないという場合は漢方薬を試してみてください。
根菜類の代表格「レンコン」。漢方では実も葉も茎もすべての部位をお薬として用います。レンコンはどの部位も「熱取り」としての効果があり、特に茎の部分は大腸や痔による出血、月経過多や不正出血に効果があります。
中医学では痔の出血は体に熱がこもることで起こると考えます。そのため、痔の人がお酒を飲むと悪化してしまいます。痔の改善には体にこもった熱を取り除き、出血を止める必要があります。
そんな時に効果を発揮するのが蓮の茎。そのほか、カイカという豆科の花蕾も痔に非常に効果があります。これらを組み合わせた「レンシン」という生薬製剤は血液循環を高め、体を温めて便通を良くするため、痔に大変効果があります。塗り薬ではなく体の中から治してくれる飲み薬です。
この痔の薬、実は、今から千年程前に菅原道真公が大宰府に流された折、痔で苦しんでいる漁師さんにハスの茎と中国からの薬を調合して飲ませたところ、すっかり治ってしまったという有名な話があります。