漢方コラム
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Vol.100 五行草(ごぎょうそう)の力
《知っていれば宝でも、知らなければただの草*草の魅力》
中医師(中国伝統医学の医師)の先生に「知っている人には宝でも、知らない人にはただの草」というものがたくさんあることを教わりました。私が特に好きな薬草に「馬歯見(ばしけん)」があります。この名前は葉の形が馬の歯に見えるところから来たようです。別名スベリヒユ、五行草(ごぎょうそう)と言います。五行草とは茎が赤く、葉が緑、花が黄色、根が白、実が黒いことからこう呼ばれるようになったそうです。
「スベリヒユ」は日本でもよく見かける雑草ですね。実はこの雑草、ものすごく力があります。まず、細菌やウイルスによる伝染病や感染症に効ぎ、赤痢や急性胃腸炎に用いられてきました。中国の民話に、嫁ぎ先でいじめられていたお嫁さんは食べる物がなく、雑草ばかり食べていたある日のこと、家族全員が赤痢で亡くなったのに、お嫁さんだけが生き残ったという話があります。お嫁さんは「あの草に違いない」と赤痢で寝ている町の人に食べさせたところ、回復したという結末です。
腸炎以外にも膀胱炎、尿道炎、腎盂腎炎(じんうじんえん)などに良く、熱を鎮め毒を除く『清熱解毒(せいねつげどく)』の働きがあります。同時に皮膚の新陳代謝を高め、肌をきれいにしてくれるので、アトピー性皮膚炎や湿疹などにも用いられます。日本では飲みやすいエキス顆粒タイプがあり、我が家は家族で飲んでいます。腸内環境が整って快便にもなりますし、肌荒れにもよいですね。