漢方コラム
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Vol.95 残暑を乗り切る養生法
《食べ物で体調を整える薬膳》
今年も猛暑が続いていましたね。少しずつ涼しくなってきましたが、まだ日中は暑い日もありますね。
身近な食べ物にはそれぞれ薬効があり、食材の性質を生かすことで体調を整える「薬膳」を家庭で取り入れてみてはいかがでしょうか。
夏は高熱や脱水になりやすく、こうした暑さによる悪影響を漢方で「暑邪(しょじゃ)」といいます。暑邪により体調を崩す「暑気あたり」はよく知られています。暑さで汗をかくと血液中の水分が奪われて粘性が高まり、五臓の「心(しん)」に負担をかけてしまいます。「心」の熱を冷ましてくれるのが寒性、涼性の働きがあるゴーヤやキュウリ、スイカ、トマトなどの夏野菜。ミネラルやビタミンも豊富です。
湿気の多い日本の夏は「湿邪(しつじゃ)」にも注意しましょう。湿邪による体のむくみを取り、体内の水分を循環させて老廃物を体外に排出させることが必要です。ウリ科の野菜は利尿作用があり、湿邪対策に適しています。スイカは皮近くの白い部分に高い利尿効果があるため、スープに入れたり、ぬか漬けにして食べてみてください。とうもろこしのひげは自宅で乾燥させて煮だして飲むと利尿効果を見込めます。そのほか、はと麦、緑豆などにも利尿効果があるので、緑豆もやしや緑豆はるさめなどを用いると良いでしょう。
また、酸っぱいものと甘いものを組み合わせる「酸甘化陰(さんかんかいん)」も夏にオススメの養生です。この組み合わせは汗で失った体液をいち早く補います。食べ物の性質で体にこもった熱を取ることがポイントです。
暦の上では秋に近付いてきても、暑さを感じる間はこのような養生法を取り入れてみて下さい。