漢方コラム
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Vol.92 「グルグル」「クラッ」いろんなめまい
《さまざまな疾患が隠れている場合も》
めまいにはぐるぐるまわる「回転性のめまい」と、ふわふわしたり、立ちくらみのような「非回転性のめまい」があります。回転性のめまいは耳や目、脳などの障害からくるといわれています。中医学では体の「気・血・水」の状態を重視し、めまいは「水」に関係していると考え、化痰(かたん)薬や去湿(きょしつ)薬、利水薬など体の余分な水分を取り除き、水はけ・水の流れをよくする漢方薬を用います。
私が勤める中村固腸堂では、梅雨時期になるとめまいの相談が増える傾向にあります。梅雨時期は人間の体にも湿気がたまりやすく、体が重だるい、頭重感がある、むくむ、胃腸の調子が悪いという人は要注意。胃腸機能の低下がますます体調を悪化させるので、胃腸を冷やさず、過食や美食、アルコールは控えめに。
また、頭は「陽」が集中するところ。ストレスで気の巡りが悪くなると気は上に上がり、イライラ、頭痛、不眠などの症状が現れます。熱も上に上がりやすいため、アルコールを好む人や高血圧の人も注意しましょう。
ふわふわとしためまいは高血圧が関係している場合もあり、血圧のコントロールも大切です。「虚証のめまい」といって、体のどこかが弱っていて貧血や睡眠不足、過労などになりめまいを引き起こすこともあります。
めまいはメニエール病、高血圧症、脳血管障害、貧血、自律神経失調症、更年期障害、眼科疾患などさまざまな疾患に伴って引き起こされ、「めまいにはこの漢方薬」とひとくくり〞にはできません。原因に応じた対応をすることが重要です。