漢方コラム
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Vol.87 慢性的な足腰の痛み・しびれ
《内臓の機能低下や血流停滞などが原因》
足腰の痛みやしびれは生活に支障をきたします。特に、加齢によるもの、慢性的な痛みやしびれは内臓機能の低下が関係していることも多く、痛みを取り除くだけの治療よりも、体の内面から支える漢方薬が有効な場合があります。
ぎっくり腰は過労による疲れ、虚弱体質、冷え、老化などがベースにあり、血流停滞や筋肉の緊張が生じて起こるので、体を根本的に整える漢方薬を用いると繰り返しにくくなります。
「台風が近づくと腰が痛い」「天気の悪い日は腰痛がひどい」「梅雨時期や冬になるとひどくなる」など痛みは気候や季節、冷え、湿気により左右されます。また、水分代謝が悪くなり、体に余分な水分が溜まると痛みを悪化させることもあります。日本海側の石川県は湿度が高く、冬は寒いので、腰痛や神経痛に悩む人が多いようです。
漢方薬は痛み止めとして一時的に痛みを楽にするものもありますが、体を温め血行を改善し、患部に栄養を届けるもの、体の余分な水分を取り除き、水分代謝を調節するものなどがあります。
腰は「腎の府」といい、腎臓の集まるところという意味です。漢方では慢性的な腰痛は腎の働きが低下していると考えます。東洋医学で言う腎は腎臓よりももっと広い意味があり、腎の働きを高めることが大切です。また、慢性的な疲れ、胃腸が弱いなどの体質的な弱点を補うことで、根本的な改善を目指していきます。
用いられる漢方処方はいろいろありますので、その方の痛み方やタイプ、体質に合ったものを用いていくことが重要です。