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漢方コラム 229/313

Vol.85 食べ物の性質〜五つの味編〜

《「酸」「苦」「甘」「辛」「鹹(かん:塩からいの意味)」の秘密》
食べ物の「味」の性質について解説します。中医学では食べ物の味を五つに分け、それぞれの味により働き方が違うと考えます。五味は「酸」「苦」「甘」「辛」「鹹(かん:塩からい)」に分けられ、それぞれが「肝」「心」「脾(消化器系)」「肺」「腎」に配当されます。
中医学で言う五臓は現代医学の臓器とは少し違います。「肝」とは「肝臓」とイコールではなく、肝臓と関係の深い自律神経系や精神情緒、器官では目など、その繋がりも含めて表しています。そのため、肝の働きが弱いと言っても、肝臓の数値が必ずしも悪いわけではありません。ストレスによるイライラ、目の疲れなども含めて肝をとらえます。酸っぱいものが欲しくなれば肝の働きに注目し、塩っ辛いものが欲しい時は腎の働きに注意しなければなりません。
五味にはそれぞれ働きがあります。苦いものは体の余分な熱を取るため、ゴーヤはのぼせ、不眠、高血圧、皮膚炎に良いとされています。酸味のある梅は収れん作用があるので下痢や寝汗に良く、辛味のあるねぎや生姜は発散・発汗作用があり、風邪に良い食材です。また、味の組み合わせにより新たな効能が生まれます。レモンのはちみつ漬けのように酸味と甘みを組み合わせたものは体に素早く元気と潤いを与えてくれます。けれども摂りすぎや誤った摂り方はかえって内臓の働きを弱めてしまうこともあるので、やはりバランスの良い食事と正しい食習慣が基本です。
「酸と甘」」苦と辛」「甘と鹹」「鹹と苦」など、食べ物の味や性質がどんな病気や体質に良いかということが実際に応用されているのが、薬膳や中華料理なのです。
ブヘサ中村固腸堂
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