漢方コラム
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Vol.73 子宮内膜症
《女性の10人に1人が子宮内膜症!強い月経痛や慢性的な下腹部痛など》
子宮内膜症の潜在患者は日本女性の10人に1人とも言われています。子宮内膜症とは子宮内膜が子宮内以外にできてしまう病気です。一般的には卵管や卵巣、そのほか子宮周辺の組織に多くみられます。
子宮内膜は妊娠準備として厚くなり、妊娠しなかった場合は生理として排泄されます。子宮内膜が子宮内以外にできるとどうなるか―。▼生理のたびに子宮内膜が増殖、▼剥がれて出血、▼子宮周囲の組織に内出血が起こる−状態になります。
場所によっては激痛を引き起こし、放っておくと炎症を起こしたり、組織間が癒着してしまうこともあります。月経時以外でも腹痛や吐き気、腰痛、排便痛、排卵痛、性交痛、尿意痛などをおこします。
生理が止まれば症状は軽減され、閉経や妊娠によって楽になります。そのため、ピルを用いた擬妊娠療法が用いられることもあります。しかし、更年期様の症状が出たり、骨粗鬆症のリスクが高まるなどのデメリットもあるため、長期使用はできません。子宮内膜症は不妊症の原因となることもあり、定期的に婦人科を受診し、早期発見することが重要です。
漢方では「瘀血(おけつ)」が関係していると考えます。「瘀血(おけつ)」とは血流障害を指し、婦人科のトラブルの場合は骨盤内の血の巡りが悪いことに起因することが多いようです。漢方薬には、骨盤内や子宮内環境を良くするものがあります。鎮痛剤で生理痛の痛みだけをやわらげたり、放っておいたりせず、早めに改善にとりかかることをお勧めします。