漢方コラム
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Vol.69 太れない〜胃腸の働きが弱い脾気虚体質〜
世の中には痩せたい願望の方が多いかもしれませんが、太りたくても太れないという方もいます。贅沢な悩みなように聞こえますが、本人にしてみれば、疲れやすく、冷えやすい、ちょっと食べ過ぎるとお腹をこわしたり、胃がもたれて張ってくる、など、つらいものです。
東洋医学では消化器系は五臓で「脾(ひ)」と表され、太れない方は「脾気虚(ひききょ)」といい、胃腸が弱い体質の方が多く見受けられます。
胃腸は五臓の中でも元気を作りだす発電所のようなもの。「脾弱(ひよわ)」と言うように、胃腸の不調は病弱な体になりやすいのです。
現代人は痩せすぎの傾向にありますが、痩せすぎは生殖機能にも影響があるため生理不順になったり、血がうまく作られずにさまざまな婦人科疾患にも繋がります。
無理なダイエットで生理が止まるのは、これ以上血液を消耗したくないというサインをだしているわけです。ホルモン治療で無理に体にムチを打って血を出させることを続けると、体の中はカラカラに渇いてしまいます。
きちんと食べ、食べたものがきちんと消化できるということは命を養うことに繋がります。かといって、何を食べてもいいわけではなく、米を中心とした食事、味噌汁、野菜、豆、などが私達の体を作ります。
菓子パンやお菓子、インスタント食品、コンビニ弁当などを食べていては、胃腸も悪くなる一方。また、食べても太れない、食べたくても食べられない方もいます。
このような時、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、六君子湯(りっくんしとう)、参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)、など胃腸を丈夫にする漢方薬が用いられます。胃腸が丈夫になると元気がみなぎりますよ。