漢方コラム
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Vol.67 不安感や恐怖心 〜胆の働きが弱まっている〜
《胆を強めて不安感を取り除く》
常に不安感がある、または恐怖心や憂鬱感、落ち込み、イライラ、といった精神状態に漢方薬が有効なのをご存じですか?
東洋医学では、心と体は繋がっていると考えます。
体の元気がないと気持ちも前向きになれないように、心にトラブルがある場合、単に気持ちの問題、性格の問題だけでは済ますことはできません。
もともとそのような症状がある方もいれば、何かしらきっかけがあって以来突然起こり、自分でコントロールできなくなってしまったという方もいるでしょう。
昔から、「胆が座っている」「胆っ玉」などというように、度胸をあらわす言葉として「胆」が使われます。
東洋医学では、胆は胆のう・胆汁の働きの他、『決断をつかさどる』臓器として人間の精神状態と関係が深いと考えられています。
不安感や恐怖心などの精神状態の事を東洋医学では「胆寒(たんかん)」といいます。胆の働きが弱まっているという意味です。
漢方では「温胆湯(うんたんとう)」といい、胆を強めることで不安感や恐怖心、不眠などを改善する漢方薬があります。数種類の薬草が組み合わされており、鎮静・安眠作用があり、気持ちを落ち着け、安らかに眠れるように働きます。
また、精神的ストレスは胃腸障害も引き起こしやすいため、胃腸症状を改善する生薬も組み合わされています。
反対に、食べすぎや飲み過ぎなどの過食、悪い食事などによる食事の不摂生により胃腸が傷つけられると、肝胆系に影響が及ぼしやすく、精神が安定しないなどの悪循環に陥りやすくなります。
このように、漢方は局所的な治療ではなく、総合的に体を捉えているところが特徴です。