漢方コラム
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Vol.63 出産と授乳
《汚れた血液や老廃物が滞る瘀血(おけつ) 出産・授乳で瘀血を排出 身体の大掃除》
漢方では出産や授乳は「体の大掃除」と考えています。特に『瘀血(おけつ)』といい、体に滞った汚れた血液、老廃物などを排出するにはとても良い機会であるととらえます。
例えば生理痛や子宮内膜症は骨盤内の血流が悪くなることで起こりやすくなるため、瘀血(おけつ)に該当する疾患ですが、妊娠・出産により生理痛や子宮内膜症が軽減するということも多いのです。
出産経験のないまま更年期を迎えると、『瘀血(おけつ)』による症状が強く出るということも考えられます。できるだけ自然に妊娠し、授乳を6〜8カ月続けることは、効率よく瘀血(おけつ)を排出するために良いといえます。しかし、1年以上の授乳は体や生殖機能に負担がかかるため、老化を早める原因にもなります。特に高齢出産の場合は注意しましょう。
出産後の養生は次の妊娠や更年期に関わってくるため、非常に重要なポイントです。出産回数が多い場合や、産後1年あけずに年子で出産した場合は自分が思っている以上に体への負担は大きくなります。
更年期を快適に迎えるためにも、その後の養生が非常に大切です。できるだけ無理を避け、正しい食事で栄養をとり、生理と生殖機能を整えましょう。漢方薬には昔から、産後の肥立ちを良くするものや、母乳の出を良くするもの、長期の授乳のための母体の消耗を養うものなどがたくさんあります。漢方薬は失った血をしっかりと補い、生理と生理機能を整えるため、次の妊娠のための準備につながります。同時に更年期のさまざまなトラブルの予防にもなりますので、しっかりと体を整えていきましょう。