漢方コラム
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Vol.61 母乳の出が悪い 〜良い母乳を出すためにはお母さんの体調管理を〜
お産した体は、予想以上のエネルギーと血液を消耗しています。母乳は白い血液とも言われ、材料は血液です。妊娠出産により血が不足すると、母乳が十分に生成されなくなります。出産後は子供のために無理をしがちですが、良い母乳をしっかりと与えてあげるためには、体の消耗を防ぎ、お産に伴う体のダメージをゆっくりと回復させ、正しい食事で栄養を摂ることに専念することが大切です。
《母乳は血液でできた“完全栄養食品”》
母乳は消化もよく、さまざまな免疫に関する物質が含まれており人工的には作れない絶妙なバランスの栄養分からなる完全栄養食です。お子さんの体のためにもよい母乳を作り、よく出るように条件を整えましょう。ただ栄養を摂るだけではなく、血を補う食べ物を意識して摂ることが重要です。また、必要な栄養をきちんと消化・吸収できるように胃腸の調子を整えることも大切です。
漢方では、産前産後ともに女性の体を補ってくれる「当帰(とうき)」という生薬がよく用いられます。当帰を主成分にした処方には「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」があります。しっかりと血を補い、体を元気にするため、産後の体調不良にも良く、産後の肥立ちを良くしてくれます。
血を補う食べ物には黒豆、黒米、黒ゴマ、黒砂糖、ひじき、干しぶどうなど色の黒いものや、人参、なつめ、枸杞の実などの色の赤いもの、また、栗、ほうれん草、などがあります。積極的に食べると良いでしょう。また、母乳の出を良くする食べ物としてはもち米、根菜類、豚足、鯉、かぼちゃの種、たんぽぽの根などが知られています。乳腺炎のある方はもち米や豚足などは控えたほうがよいでしょう。そして、お母さんの精神安定は何よりも重要! とにかくよく寝ることも心がけましょう。