漢方コラム
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Vol.54 『膀胱炎』−おかしいなと思ったらすぐ対処!
《冷えや疲れなど抵抗力が落ちたときに襲う『膀胱炎』》
膀胱炎は、大腸菌などの細菌が尿道口から膀胱の中に入り込み、炎症を起こす病気です。女性の尿道口は男性よりも短く、肛門や膣にも近いため、男性より女性に多くみられる疾患です。また、冷え性の方に多く見られるのも特徴で、女性に発症数が多い理由の一つと考えられます。
主な症状としては、▼トイレが近くなる、▼少量しか尿が出ない、▼排尿時の痛み、▼尿の色が濁る、▼血尿が出る―などです。膀胱炎を放っておくと、腎盂腎炎(じんうじんえん)という病気になってしまうこともありますので、早めに治しておくことが重要です。
膀胱には元々細菌が存在していますが、人間には抵抗力が備わっているため、普段は発症しません。体の抵抗力が落ちたときに、細菌が暴れ出します。そのため、冷えや疲れにより、体の抵抗力が落ちた時に起こりやすくなるのです。@膀胱炎にかかりやすい、A何度も繰り返す―という方は、体を極力冷やさないようにし、睡眠をしっかり取り、疲れをためこまないようにする必要があります。
糖尿病の人にも多くみられることが知られています。「膀胱炎がなかなか治らない」と思っていたら、背景に糖尿病があったということもあります。糖尿病になると尿中の糖が増え、これが細菌のえさになってしまいます。膀胱炎は「おかしいな」と思ったら『すぐに対処する』ことが重要です。
常備しておくと便利な漢方薬には、「猪苓湯(ちょれいとう)」、「五淋散(ごりんさん)」などがあります。尿の出をよくし、膀胱で増殖した細菌を排出し、患部の炎症を鎮める作用がある漢方薬です。少し多めのお水またはお湯で飲むとよいでしょう。「五行草茶(ごぎょうそうちゃ)」を毎日飲んでおくこともお勧めです。五行草とはスベリヒユのことで、皮膚病や胃腸にもよい生薬ですが、抗菌、抗ウイルス、抗炎症作用があり、膀胱炎の予防によいですよ。