漢方コラム
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Vol.53 『空咳』−肺と粘膜を潤し、ウィルスに打ち勝つ!!
《秋冬は空咳に注意!! 体のバリア力が低下》
空気が乾燥する季節は、私たちの体も乾燥してきます。皮膚や粘膜は潤いが保たれていることで体が守られているのですが、乾燥してくるとバリア力が弱くなります。
例えば乾燥する時期に多いのは、喉(のど)の粘膜の乾燥です。乾燥すると風邪にかかりやすくなるため、夜寝る時は部屋を乾燥させないことが重要です。また、口呼吸の方はより喉を乾燥させやすいので、鼻の症状を治して鼻呼吸を心がけましょう。
咳(せき)にはコンコンと渇いた空咳(からぜき)、痰(たん)のからむ咳、痰の色も白から黄色までさまざまです。同じ咳でも、咳や痰の状態によって、原因や状態が違います。空咳は乾燥によるもので、粘膜を潤してあげることが重要です。白い痰は冷え、黄色い痰は熱がこもっているサインです。
空咳の場合はただ咳を鎮めることだけではなく、肺や粘膜の潤いを保持することが大切です。漢方薬では麦門冬湯(ばくもんどうとう)や潤肺糖漿(じゅんはいとうしょう)などを処方します。肺と喉の粘膜を潤して空咳を改善するものを用います。
食材では、ユリの根、白キクラゲ、松の実、梨、ごま、リンゴ、ビワなどがお勧めです。空咳タイプは、香辛料などの刺激物はますます悪化させることになるため、控えるようにしましょう。夏場に暑さをしのぐために辛いものをたくさん食べる方がいますが、夏場に辛いものを食べすぎると、秋冬になると肺や粘膜が乾燥しやすいので年間を通して注意しましょう。