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漢方コラム 272/313

Vol.42 「腰痛や神経痛の痛み」

「痛み」は本人にしかわからないつらいもの。相談の多い疾患の一つに腰痛・神経痛があります。老化、ヘルニア、追突事故やけがの後遺症など原因は様々です。
 急性期と慢性的な痛みでは対応が異なります。急性期は炎症を伴うことが多く、赤く腫れていたり、冷やすと楽になる場合は消炎作用があるものを用います。寒くなるとしびれ、痛みが生じる場合はお風呂につかって温め、血流を良くすることが大切です。

《「通じざれば痛む…」血や経絡のつまり解消》

人間の体には血液が流れていて、酸素や栄養を運び、老廃物を回収します。ツボとツボをつなぐ線路の役割をする経絡も全身に張り巡らされています。「通じざればすなわち痛む」といい、痛みが生じるところには血や経絡のつまりがあります。鍼灸や漢方薬が慢性の痛みに効果的なのは血の詰まりや経絡のつまりを通じさせるからです。
 経絡の詰まりを流すことを「通絡(つうらく)」といいますが、漢方ではよく「虫」を使います。特に蟻〞。「えっ!!蟻?」とよく驚かれますが、蟻は炎症を鎮め、痛みを和らげる働きがあります。中国やヨーロッパでは昔から滋養強壮、健康維持のために珍重されてきました。
 中国で蟻の食用は三千年以上の歴史があり、貴族階級だけの嗜好品でした。蟻はとっても力持ちで、自分の体重よりも400倍も重いものを持ち上げます。これは人間が片手で象を持ちあげるようなものなのです。

 痛みのタイプは人それぞれです。梅雨時期などは体に湿気がたまりやすくさらに痛みやすくなるという方もいます。そのような方には体にたまった湿気を取り除く漢方薬を用います。
 冷えると悪化するタイプは患部の血流をよくし、温めて痛みを和らげる漢方薬が効果的です。漢方薬には骨や周りの筋を丈夫にする働きもありますので、痛くなる前の予防としても用いることができます。
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