漢方コラム
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Vol.40 中国皮膚科研修最新レポート
先月、雲南省の中心部、昆明に研修に行ってきました。昆明は治安が良く、温かい土地柄で、人々も穏やか。研修先は中国伝統医学専門病院の「雲南省中医医院」です。有名な病院なので、毎日中国各地からたくさんの患者さんが集まり、行列を作ります。中国には、西洋医学と東洋医学の病院があり、患者さん自身が選びます。
昆明では土地柄特有の疾患が多いのが特徴です。標高が高く、日焼け止めを塗る習慣がないので、日光性皮膚炎で相談に来る方が多くみられました。入院病棟で驚いたのは、帯状疱疹の後遺症や乾癬(かんせん)など、症状が重い人に漢方薬を点滴すること!! また、美容科では、経絡(けいらく)にそい、薬草を使ったフェイシャルケアを行っているのです。
《生活に根付く漢方・食養生激動の中国 食文化にも影響》
中国では、スーパーでごく普通に漢方生薬が売られ、お母さんが家族の健康状態に合わせて薬草を使った料理を作ります。レストランでも漢方生薬がおいしく調理されて出てきます。そして、ビールは常温。中国の人にとっては、毎日の生活が当たり前に薬膳、食養生なのです。
しかし、そんな素晴らしい食文化を誇る中国でも、近年、ファストフード店の増加、生活スタイルの欧米化により、これまであまり見られなかったアトピー性皮膚炎、アレルギー疾患、じんましんなどが急激に増えています。
中国は何度も訪れていますが、発展のスピードはすさまじく、来るたびに街の印象が変わります。それと同時にいわゆる現代病も増加しています。せっかく良い食文化があるのに残念なお話ですね。